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今年度のH氏賞の受賞が発表された。一見妖しげな響きの賞であるが歴とした文学賞である。

詩人であった平澤貞ニ郎の基金により1950年に創設された。
日本現代詩人会が主催する優れた新人の詩に与えられる文学賞で、詩壇の芥川賞ともいわれる。
創設の折に平澤氏が匿名を希望したため「Hirasawa」の頭文字の「H」を冠とした。

今年の受賞者は廿楽(つづら)順冶氏が受賞した。

過去に三木卓、吉岡実、白石かずこ、富岡多恵子ら現在も活躍する錚々たる詩人・作家が受賞している。

私は高校卒業後上京し予備校に通っていた。当時西新宿に住んでいた池田満寿夫さんのアパートを訪ねたことがあった。一階は0氏の音楽事務所だった。鉄製の簡素な階段を上がりニ階に池田さんの部屋はあった。四畳の狭い部屋だった。壁に新聞の切り抜きがピンナップされていた。富岡多恵子さんがH氏賞を受賞した時の新聞のインタビュー記事だっだ・・・富岡氏は現在画家志望の青年と一緒だ、というような内容のことも書かれた記事だったように記憶している。

当時すでに富岡多恵子さんは詩壇で新人の詩人として認められていた。私が新聞の記事を読み終えた頃に池田さんが
そのうち僕は多恵子を追い越すから・・・と威勢よく語っていたのを憶えている。

確かにその後の池田さんの活躍はものすごいものだった。またたく間に世界的な作家へと駆け上がったのだった。
池田さんの作品のタイトルに「タエコの朝食」といった富岡多恵子さんから影響をうけたことを証明するかのような作品がある。

池田さんの作品に文学性が認められるのは、明らかに富岡多恵子さんの影響だと考えられる。その後池田さんは「エーゲ海に捧ぐ」で第77回芥川賞まで受賞した。

人は友人、恋人にせよ付き合う人の才能や人間性に大いに影響されるものだとつくづく思う。

3月8日は池田満寿夫さんの命日だ。
この時期になると何時も思い出すのだった。池田さんを羨望の的で見ていた頃を、それは明日に溢れんばかりの夢を抱いたものだった。

H氏賞と同時に発表された現代詩人賞は97歳の杉山平一氏の詩集「希望」が選ばれた。歴代最高齢の受賞だ。詩人の魂を何時までも持ち続けたいものだ。
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2012.03.04 / Top↑