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本の所持や読書は法律で禁じられ、もしも本を所持していることが発覚すれば昇火士(ファイアマン)がやってきて本を焼却し本の所持者は逮捕される。本を所持していると密告され市民はお互いに監視しあう。やがて人々は本を読むことを止め、もの言わぬ社会が形成される。表面上は穏やかで平和な社会だがファシズムのせかいだ。そんな恐ろしい未来社会を書いたレイ・ブラッドベリのSF小説の名作「華氏451度」の名をテーマにした国際美術展が横浜美術館で開催されていた。

レイ・ブラッドベリは当時、反知識主義あるいは思想統制の恐ろしい時代をSFという手法で批判した。今回のトリエンナーの監督を務めた森村泰昌氏はブラッドベリのSF文学を反転させることで今と言う時代の危うさを厳しく批判しているかのように思う。

安倍政権は一握りの富裕層の為の政治だ。けれど,国民はなぜ怒らないのか。国民の支持率は一向に下がることはない。それどころか微量ながら上がるから不思議でならない。それとも、やがて幸福な時が来るのだと信じ切っているのだろうか。どこか華氏451度と似たところがある。


国際美術展は正確には『ヨコハマトリエンナーレ2014 華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある』という現代アートの展覧会だ。入口に大きなゴミ箱のようなマイケル・ランデイの作品「アート・ビン」が目に飛び込む。見せたくない作品、見られてはいけない文章、あるいは汚れてしまった魂を忘却の彼方に送りだそうとするものだろうか。

展示された多くの作品には、忘れられ忘却の彼方に葬られた「もの」が浮かびあがり見えてくる。一つ一つの作品に心を奪われ引きつけられる。そして浮かびあがって見えてくる「もの」は反転し今と言う時代を強く考えさせられる作品ばかりだった。

とりわけ心に強く残ったのは、夭折の画家で戦時中に軍部に抵抗した松本竣介が終戦間ぎわに妻と息子に宛てた手紙だ。。。産業と資本が人間を支配しないかと、息子の将来を案じるものだった。

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2014.11.05 / Top↑