私がレコードを初めて買ったのは高校生の時だった。やがてコンサートに行くようにもなった。けれどコンサートもLPレコードも昔は高価なものだった。レコードから、やがてCDで聴く機会が多くなっていった。しかし近年になり往年の名演奏家のレコードを取り出して聴くことが度々でてきた。私が今使用しているアンプやプレーヤ、スピカーは随分昔に購入したもので、今ではもうヴィンテージものにちかい。居間でピアノと同じぐらいの空間を占領してコンパクトなCD機と比べると邪魔でしかないように思うことがある。余りにも古くなりすぎたようだ。そして新しいオーディオに買い換えようかと思ったりもした。そんな折、村上春樹氏がある著書でアンプはJBLを長年使い続けているという事を知った。だからという訳でもないのだが愛情をかければ、まだまだいけそうなきがする。それに長年私の音楽好きを支えてくれたことを思うと買い換えるのはやめることにした。それ以来LPレコードで聴く機会がめっきり多くなった。

LPレコードはジャケットのデザインが粋で美しい。またジャケットを取り出すたびに買い求めた時代の物語が甦る。当時のレコードの値段が2000円ぐらいだったから今のCDと変わらない値段だ。貧乏学生だった私には随分高価な買い物だったが、今でもこうして名曲をLP盤で聴けるのは嬉しいことだ。私が収集していたLPは弦のものが(ヴァイオリンとチェロ)多く、ティボーやシェリング、カザルスの演奏に傾倒していたのがよくわかる。ビル・エヴァンスなどモダンジャズも何枚か混じっている。真空管を通して聴く音は温かく穏やかだ。技術革新が必ずしも人間にとつて幸福ではないように思う。

三田文学の人たち
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2016.07.15 / Top↑