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昨年の暮れ知り合いの古美術店を訪れた折りに店主からK氏の体調が思わしくなないようだと聞いた。そんなはずはないと思いつつすぐにK氏に電話をいれた。いつものように電話口には奥さんが出られ、K氏は昨日亡くなったと聞かされた。亡くなる一ヶ月ほど前に電話で駄法螺なことを言いながら体調は大丈夫だと話したばかりだった。

詩人で文芸評論家として活躍をしてきたK氏。大学を卒業後、河出書房に入社して大岡正平や田村隆一、小島信夫を担当し、若くして小説で新潮新人賞を受賞した。やがて大好きな中也の研究にのめりこんでいき中原中也の本を何冊か出版した。
酒乱だったという中也ほどではなかったが酒が好きで、電話はいつも飲み屋からだった。
小林秀雄は中也は魅力的だが嫌悪があると評した。嫌悪とは子供のようなことだろう。K氏もどこか子供のような我儘を言い私をよく困らせた。青年時代からの長い付き合いだった。私をいつも励まし生を実感させる存在だった。
先年、田村隆一に関する著書の謹呈を受けた折に内表紙にサインをしてくれた。「何もかも透明にする光の中にある」と。


今月中旬に某新聞の文化面に私の近況を知らせる記事が掲載された。その日は朝からメールの着信が続き一日中返礼のメールで忙殺された。中には記事を添付したメールもあり、新聞を見る前に内容を知ることになった。その日の新聞の社会面でゼミの卒業生の記事も掲載されていた。某記念館の学芸員としての研究記事だが掲載面積は私の倍以上の大きな記事だった。教え子の活躍は嬉しいもの。沈んでいた私の気持ちを引き上げてくれたのだった。


冬の旅
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2020.01.28 / Top↑