スイスで個展を開催したおりにエンガディン地方のサンモリッツ湖畔にあるセガンティーニ美術館を訪れた。

ローザンヌ駅からサンモリッツ駅まで途中ブリークで美しい赤い氷河特急に乗り換え8時間余り、車窓からみる風景は、あの有名なランドヴァッサー橋をはじめ全ての風景に心奪われ長時間の乗車ストレスは皆無だった。

私がセガンティーニ美術館を訪れたいと思ったのは、もう随分昔の私が中学時代のことである。当時まだ名古屋大学の法学部の学生だった家庭教師から貰った一冊の美術全集の中で強烈な印象を残した作品がジョヴァンニ・セガンティーニであった。

アルプスの澄みきった透明な空気と光、爽やかな風といた自然がこんなにも生き生きと表現出来るものだと、そして何よりも私を魅了したのは詩的で生きることへの憧れを強く抱かせるものだった。


サンモリッツは冬季オリンピックが二度開催されるなどウインタースポーツの場としても有名だ。また中心街は高級ホテルやブランドショップがずらりと並ぶスイスでも有数なリゾート地でもある。


サンモリッツ駅から湖畔に沿って20分ほど林の中の坂道を歩いた所に美術館はある。湖に向って小さいながら石造りで堂々としていた。
建築家ニコラウス・ハルトマンがセガンティーニの構想のもとに設計されものだ。


ジョヴァンニ・セガンティーニ(1858-1899)は北イタリアのアルプス山麓アルコで生まれ、亡くなる5年前にエンガデインに移住した。より高い地を求め制作しアルプスの印象画家と呼ばれた。晩年は象徴主義に傾倒し詩的で哲学的な絵画へと変貌していった。


ゴーギャンが遺書代わりに制作した作品、「われわれは何処から来たか、われわれは何者か、われわれは何処へいくのか」に代表されるように多くの芸術家は己の人生と対峙した時に同じようなテーマに悩み苦しむ。

セガンティーニの畢生の大作(225×403㎝)「生」「自然」「死」の三部作がニ階のドーム状の空間に展示されている。作品の前に置かれた木製の長椅子に腰を下ろし、長時間に亘って自問してしまうのだった・・・それは己に向けられた人生への真実の問いかけであった。

「自然」を制作中に突然の病魔に襲われ未完成のまま41歳で夭折した。


尚、現在。滋賀県の琵琶湖湖畔にある佐川美術館にて「アルプスの画家セガンティーニ 光と山」展が8月21日まで開催されている。三部作は写真展示であるが世界中の美術館、コレクターから集められ、セガンティーニの名作が展示されている。会期中無休。
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2011.08.12 / Top↑
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