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・・・「その油絵は・・・志摩半島にあるホテルに逗留していた際、典子が買い求めたものであった。ふらっと立ち寄った英虞湾沿いの喫茶店の板壁に五点並べられてあったのだが、それぞれの題と値段をしるした紙がピンでとめられていた。喫茶店の主人に訊くと、ときおりこの近辺に写生にくる青年に頼みこまれて場所を提供したのだ」・・・(宮本輝著「花の降る午後」より)

物語にある志摩半島のホテルが、喫茶店が何処かは分からないが、舞台となった所をイメージしながらクルマを走らせた。伊勢道から志摩半島に抜ける道は連休明けで静かだった。
村野藤吾が設計したという、古いホテルにはいた。穏やかに輝く英虞湾の海を眺めながら珈琲を啜った。「潮騒を聞く女」と題した油絵が掛けられていた。


弦田英太郎、藤本東一良、小磯良平、山口薫、藤田嗣治など錚々たる作家たちの作品が並ぶ、ちょっとした小美術館のようだ。若い頃は日本の作家の作品には見向きもしなかった。それよりも新しく台頭する先鋭的な海外の芸術思潮ばかりに目を向けていたものだった。
昔から志摩半島の大王崎燈台が見える波切町へは風景画を描きに多くの人々が訪れます。
私も高校時代に何度か描きに行きました。岩に打ちあげる荒波と燈台のある風景は写生をするには、もってこいの美しい場所です。


英虞湾沿いの喫茶店で主人公の甲斐典子が買った作品は「白い家」という題の6号の油絵です。アメディオ・モジリアニ風の風景画から物語は展開します(宮本輝著「花降る午後」講談社文庫)。



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2013.05.13 / Top↑
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