FC2ブログ
昨年の暮れ知り合いの古美術店を訪れた折りに店主からK氏の体調が思わしくなないようだと聞いた。そんなはずはないと思いつつすぐにK氏に電話をいれた。いつものように電話口には奥さんが出られ、K氏は昨日亡くなったと聞かされた。亡くなる一ヶ月ほど前に電話で駄法螺なことを言いながら体調は大丈夫だと話したばかりだった。

詩人で文芸評論家として活躍をしてきたK氏。大学を卒業後、河出書房に入社して大岡正平や田村隆一、小島信夫を担当し、若くして小説で新潮新人賞を受賞した。やがて大好きな中也の研究にのめりこんでいき中原中也の本を何冊か出版した。
酒乱だったという中也ほどではなかったが酒が好きで、電話はいつも飲み屋からだった。
小林秀雄は中也は魅力的だが嫌悪があると評した。嫌悪とは子供のようなことだろう。K氏もどこか子供のような我儘を言い私をよく困らせた。青年時代からの長い付き合いだった。私をいつも励まし生を実感させる存在だった。
先年、田村隆一に関する著書の謹呈を受けた折に内表紙にサインをしてくれた。「何もかも透明にする光の中にある」と。


今月中旬に某新聞の文化面に私の近況を知らせる記事が掲載された。その日は朝からメールの着信が続き一日中返礼のメールで忙殺された。中には記事を添付したメールもあり、新聞を見る前に内容を知ることになった。その日の新聞の社会面でゼミの卒業生の記事も掲載されていた。某記念館の学芸員としての研究記事だが掲載面積は私の倍以上の大きな記事だった。教え子の活躍は嬉しいもの。沈んでいた私の気持ちを引き上げてくれたのだった。


冬の旅
... 続きを読む
2020.01.28 / Top↑
毎週、日曜日の朝、シューベルトのピアノ曲「楽興の時 第3番」のテーマ曲から始まる「音楽の泉」。NHKラジオが放送するクラシック音楽の入門番組がある。聴き始めたのは学生時代でラジオを聴くのが楽しみだったころからだ。当時の司会者は堀内敬三だった。やがて村田武雄に変わり、現在は皆川幸夫が務める。息の長い長寿番組だろうと思う。日曜日の朝は音楽の泉を聴くのが長年の習慣になっている。

今年も制作と発表に明け暮れた一年であった。中でも過去十年の作品を纏めた作品集は完成までに思わぬ苦労があったが、心に残る良いものとなった。

また、今年に特筆すべきことに遠い茫洋とした記憶を呼び起こす思わぬ人との懐かしい再会が幾つかあったことだ。インターネットの時代の恩恵のお陰でもある。そして新たな才能との出会いも私の日常生活を一層素晴らしいものにした。

大島徹也編著の作品集「kuniaki yamamura DAILY PAINTING2010-2019」は愛知芸術文化センター地下2階「ART SHOP MY BOOK」及び文化のみち橦木館内「SHUMOKU CAFE」で取扱っています。東京は取扱店を検討中です
2019.12.10 / Top↑
京都、竜安寺前でタクシーに乗った。車内は柔らかなホルンの響きが流れ私は思わず素敵なタクシーですねと、運転手に話しかけた。そこから一気に音楽談議がはじまり、先ごろドイツ人の客でブラームスのリクエストがあったという。運転手はクラシック音楽のCDを常に50曲ほど用意していると話してくれた。モーッアルトのホルン協奏曲を聞き入っている間に目的地に着いてしまい話が途切れ運転手は釣銭を渡しながら、モーッアルトが一番好きだと嬉しそうだった。

ニューヨークからパリに住まいを移した竹澤恭子のヴァイオリンコンサートを聴いた。五歳の時にメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を聴いてからもう半世紀近くになる。安定感のある円熟期の演奏には魅了される。

演奏会が終了し出口に向かっていると前方から「センセイ」と迫ってくる卒業生がいた。卒業生はバイオリンのケースを背負い近々演奏会があるのだと言い、後日チケットを送ってくれた。
学生オーケストラで頑張っていたが今もアマチュア・オーケストラの団員をしているという。演奏当日、卒業生はコンサート・マスターの席にいた。アマチュア・オーケストラと言っても昨今は随分レベルは高くなっている。コンマスの姿に驚き成長ぶりに感動を覚えたのだった。

御礼
銀座での個展の折はお忙しい中ご高覧頂きありがとうございました。厚く御礼申し上げます。会場ではなかなかゆっくりお話が出来なく申し訳なく、また残念に思います。

画集、装画

... 続きを読む
2019.11.05 / Top↑
先年、私は大病を患ったことがあった。その時、運よく居合わせた名医に救われたのだが入院中、当時研修医で将来の専門を決めかねていた青年医師がいた。私が名医のもとで劇的に快復するのを目の当たりすることにより専門を決めたという。そのことを後年になってある医師から聞いた。その青年医師と最近再会し診察を受けることになた。私という患者との邂逅が一人の青年医師の方向を決め何十年ぶりに今、再びお世話になることになった。現在は誰もが知る病院の立派な医師になっていた。

お知らせ
展覧会と作品集発刊のお知らせ
2019年9月29日(日)より10月6日(日)まで東京・銀座7丁目「弥栄画廊」にて、「YAMAMURA KUNIAKI DAIL PAINTING」展を開催いたします。また、美術史家・大島徹也編『山村國晶|デイリー・ペインティング|2010-2019』を発刊。
2019.09.28 / Top↑
パスポートの期限が今月初めで切れているのをつい最近になって知った。ちょうど10年前に取得したパスポートだ。
十年前の顔写真と今回撮った顔写真とは十年の経年を感じるもので、この十年で随分と劣化したものだと、我ながら情けなく思うのだった。人は環境の存在であり、日々の生活の貧しさを恥じるものである。

過日、友人とカフェに入り、帰り際に後方から「センセイ」と呼び止められ振り向いてみると二十年ほど前の卒業生だった。よく覚えていてくれたものだと礼を述べるとセンセイは全然変わってないから、すぐに分かったという。一瞬、嬉しいことを言ってくれるではないかと喜んだのだが、パスポートの顔写真の一件で自らの経年劣化を既に自覚している私には素直に喜ぶことは出来なかった。けれど卒業生の優しさがいつも私を慰めてくれるのだった。

お知らせ
ART KYOTOに出品致します機会がありましたらご高覧ください。

展覧会名:ART KYOTO 2019
会   場:世界遺産元離宮二条城(京都市中京区二条通堀川西入二条町541)
会   期:2019年9月7日(土)、8日(日)、9日(月)(11:00~20;00、9日は16:00まで)
入場料  :当日3000円



2019.08.31 / Top↑